2016.01.05

POSTCARD

年賀状。オンラインでのコミュニケーションが日常的になっているいま、面倒なルーティーンと切り捨ててしまえばそれまでなんだけど、一応「グラフィックやってるから」とか、「プリントされた写真はやっぱりいいよね」とか、そんないまっぽいアナログでカウンターな理由をつけて、毎年自分たちの結婚式に参加していただいた方々をはじめ、お世話になっている方々に切手を貼って送っています。普段ちょこちょこ会っていたり、自分たちの生活圏内にいる友人だったり、SNSで繋がってる人たちにとっては、自分たちの姿は見慣れた風景なので、そこへきてまた年賀状も送ることはちょっとはばかられる気がしてしまうのですが、そうではない、例えば遠方に住む友人や親族の方々には、年に一度の「私たち元気ですよ、子供もこんなに成長しましたよ」の、ちょっとほっこりするお知らせとビジュアルが詰まった小さな報告書。たまに海外から送られてくる絵ハガキにも匹敵するかもしれない、単なる情報ではない、人が生きて無事に暮らしているという小さな平和が詰まったプレゼントです。
なので、その年の一年、膨大にシャッターを切って撮った瞬間のなかから一番気に入ったものを(ちなみに今年は近所の友達が撮ってくれたものを使わせてもらいました)、次の年の年初に使うわけだけど、もしかしたら、撮られたまま二度と見ることのないかもしれない瞬間をもう一度呼び起こす選抜作業がそこに介在するだけでも価値があることなのかもしれません。そんなザ・ベストフォト・オブ・ザ・イヤーを印刷してみんなに送るわけなので、送るぼくたち自身も実はちょっぴり誇らしげな気分にもなっていたります。
そんな自分たちの毎年の年賀状を気に入ってくれていた妻の伯母から昨年連絡があり、「あなたたちみたいな挨拶状がつくりたいからお願いできない?」ということでつくったのがこの挨拶状。海外での暮らしが長かった粋な伯母は70歳からフラを始めて今年で5年になるのかな? ハガキに少し文章を添えたくて電話でいろいろ話していたら、「フラをやるようになってから、なんかこういつも心があたたかいのよ」と、とても幸せそうな声でその感じを言葉で表現しようとしてくれた彼女の気持ちが電話口からぼくの方にまで伝わってきて、途中胸が熱くなったりもしました。そんな彼女から紡がれたALOHAという言葉がリアルにALOHAな気がしました。妻が絵を描いて、ぼくが文章を添えて完成したこの絵葉書。そこに彼女の言葉が添えられて、たくさんの友人知人のもとに送られて、彼女がいまも元気に平穏に暮らしていることに、受け取った方々は幸せを感じる。その一連の小さな幸せのやりとりのなかに自分たちもちょっぴり参加でき、そのお手伝いができたことにやはり幸せを感じました。
プライベートなものづくりはホント特別ですね。ALOHAって、こういう気持ちのことですかね?

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